「七転び八起き」

 最近、東田直樹という著者が書いた、「七転び八起き」という本を読みました。この著者は、他の作家と一つ違う点があります。それは、彼が重度の自閉症であるということです。
 自閉症の障がいを持っている人は、通常他人とのコミュニケーションが困難です。自分の思い、考えを人に伝えることがとても困難です。ところが、彼の場合、母親が根気強く彼を助け、筆談を教え、文字盤を押さえることで、自分の思いを表現することができるようになりました。
 それで、彼は自分の思いを文字の形で他の人に伝えることができるようになりました。

 彼が書いている文書の中で、自閉症のために、自分でしたいと思わない行動をしてしまう、また、同じ行動を繰り返してしまうことで、周囲の人が、その行動が好きだと誤解してしまうと書いています。彼がそういう行動を取った時、周囲の人が非難するのではなく、危険な行動でないかぎり、そのままにしてもらいたい。しかし、危険な行動はすぐに止めてもらいたいと書いてありました。

 この文書を読んだ時、使徒パウロが、私たちは罪の奴隷です。自分がしたいと思うことができず、したくないと思うことをしてしまうのです、と言っている言葉が重なってきました。
 罪の奴隷である人間の行動が、悪へ走る時は止めなければなりません。しかし、悪に結び付く以外の行動は、その人が置かれている環境や、その人の行動を、無理やり変えるのではなく、人格を尊重して、共に寄り添っていく。という姿勢が、信仰を守り育てていく上で大切なのではないでしょうか。
 彼の本を読んで、そのように感じさせられました。

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